彩恋

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最終日に滑り込みで見てきたんだけど、これは見にいってよかった。作品自体は予想どおりダメでしたが、市川春樹姉さんは1人ですんごい芝居を披露していました。最初にチャリンコ2人乗りしているときの自然な声のトーンからもう他の出演者とは違って「おおっ」という感じなのだが、終盤の電話の声のみによる演技のところでその震えるような声の響きに動揺し、最後の動き出した列車の中でガクッと泣き崩れる姿に激しく感情を揺さぶられる。『妖怪奇談』(http://d.hatena.ne.jp/claudine/20070115#p1)のあの1人で泣きながら謝りつづけるシーンもかなりすごかったが、ただあれはちょっと力が入りすぎてしまっている面もあったので、今回の『彩恋』における芝居こそが春樹姉さんの今のところのベストだろう。「泣きの演技」の強度ということでは、ひょっとしたらすでに沢尻エリカ先輩のそれを超えているかもしれない。
雰囲気のみで作られたようなこの作品の中で、春樹姉さんの出演場面だけは映画のエモーションがはっきり突出している。だがそれは、スクリーンの中に「存在」するだけでそのフィルムの本質的な「あり方」を根底から鮮やかに/冷酷に変えてしまう吉高由里子ちゃんの常軌を逸したおそるべき才能とはもちろん根本的に違う。もっと鈍くて不器用でそれゆえにどこかぬくもりを感じさせる春樹姉さんの芝居は、あくまでもそのフィルムの内側にある。
春樹姉さんも間違いなく「映画」の人だ。どんどん映画に出演して経験を積んでもらいたいんだけど、なんか『ネギま』の放送は2クールつづくようで。半年も時間を拘束されてもったいないなあ、と思う。テレビの演出では、役者は絶対に伸びないからね。
ネギま』ライブシーンのエキストラ募集。締切は29日正午。
http://www.starchild.co.jp/special/negima-drama/