見たもの


ホラー的な部分の演出や話題の大杉漣さんの怪演(いっしょに見ていた女子高生軍団はスクリーンに大杉さんが映るたびに爆笑していました)よりも、いいのはやっぱり女優陣の扱い方だね。素の栗山千明ちゃんが持つすばらしい「アイドル性」をこれほど見事にその役の中に生かし切った作品はおそらく初めてだろう。冒頭、千明ちゃんがひとりごとのように説明ゼリフをえんえんと並べ続ける一連は悶絶もの。あれらのシーンのためだけでもこの映画は見る価値がある。そしてつぐみさんの虐待母は『紀子の食卓』のあの役よりもさらに凄惨で怖いし、今まで演技しているところを見ても「良い」と思ったことが一度もなかったサトメグや満島ひかりちゃんもこの作品の中では悪くない。ひかりちゃんなんて千明ちゃん演じる見習い美容師の同僚役でほとんど端役といってもいいようなものなんだけど、少し斜に構えたような感じで煙草をくわえていつもよりワントーン低い声で話をしているだけで妙な色気と存在感が出ていた。不思議だ。
園監督には、ぜひニュートラルな女性映画もしくは青春アイドル映画を撮ってもらいたいです。マジで。次回作は『猟奇的な彼女』のようなラブコメになるということなので、期待。