見たもの


『あとのまつり』がすばらしすぎてもう昇天。『彼方からの手紙』よりさらに軽やかになっている! この突き抜けた軽やかさはホンモノです。瀬田監督、すごすぎ。この作品に関しては各所でおもしろい評がたくさん出ていましたが、杉山彦々さんがブログに書いていた「(瀬田監督の映画を見ると)スクリーンが360°になったかのような感覚になる気がする」という感想は言い得て妙だと思った。目と耳がすべて開きっ放しになってしまうような感覚。「映画とは映像と音響の連なりである」という原理的な認識を「実験でございます前衛でございます」なんて素振りはいっさい見せずにごく当たり前のものとして消化し、とびきりポップでチャーミングな表情のまま一気に駆け抜けていく。そしてその手法が「その瞬間瞬間で生き死にを繰り返す私たちの“生”」という物語上のテーマとばっちり噛み合ったのがこの『あとのまつり』だと思う。ちなみにこの映画を見て私はジャン=ピエール・リモザンの『NOVO』を思い出しました。あの作品も記憶が5分しかもたない男を描いた、奇妙な若々しさを持った映画だった。
あと『あとのまつり』とは真逆のベクトルを持った『月夜のバニー』が傑作だった。これは怖い映画だった。ウサギを投げつけるところで近くに座っていた女性が「ひいっ」と声をあげてびびってました(これホント)。『あとのまつり』とは対照的な世界観を提示しながらも、ひとつひとつの映像と音響そしてそれらを繋ぎあわせる編集に対するこだわり(『あとのまつり』も『月夜のバニー』も監督自身が編集を手掛けている)には同じくらいの情熱を感じた。
この2本の傑作を相手にした『マコの敵』はいかにも分が悪い。
壱のKiss!と参のKiss!は見にいけなかったんですけど、この弐のKiss!はのちのち伝説化するんじゃないですかね。見終わったあと気分が高揚してしょうがなかった。
瀬田監督インタビュー
http://www.nobodymag.com/momo/2009/index.html
髪を短くした中山絵梨奈ちゃんの動画
http://puri.nicola.jp/movie/200904_05.html
かわいすぎるー!
ところで「爆音映画祭2009」最終決選投票は非常に残念な結果に。
http://www.bakuon-bb.net/finalvote.php
本当にいいのか、こんな結果で。このエントリーなら『彼方からの手紙』と『宇宙戦争』(スピルバーグ)、あとはカラックスの『ポーラX』か青山監督の『エリエリ』以外ありえないじゃん。トホホ。

  • 『ゾンビ'99』(ジョー・ダマト)
  • 『バトル・コマンド 裏切りの七人』(ブルーノ・フォンタナ)

ラウラ・ジェムサーもの2本。『ゾンビ'99』は海の中でセックスしている最中、ゾンビどもが浜辺に音もなくゆっくりと現れるシーンがとてもよい。ゾンビと背景の木立が同一化してよーく見ないと見分けがつかないんだよね。このシーンだけは見応えあり。

  • 『真夜中の喝采』(ヤボ・ヤブロンスキー)

あまりにもつまらないので早送りしながらギル・メレの音楽が流れているところだけ見た。

あまりにもつまらないので早送りしながらエンケンさんが歌っているところだけ見た。

「この調子で90分つづくのか、ハハハ」と最初のうちはおもしろがっていたものの、15分過ぎたあたりからどうでもよくなり、結局別の作業をしながら見ることに。。。

『The Milky Way』はなかなか悪くない作品だった。特に前半がいい。『デコトラ・ギャル奈美』より10年早く「トゥインクルトゥインクルリトルスター♪」と歌ってます。後半はいろいろ余計なことをしてしまっている感じ。それにしても“森本みう”っていい女優だなあ。この人、AVよりももっとピンク映画に出演すればよかったのに。スターになれたかもしれない。いまおかしんじ監督の作品(『実録 六本木監禁レイプ』)にも出ているそうなので機会があれば見てみたい。