赤い文化住宅の初子

http://www.hatsuko-movie.com/
見てきた。東亜優さんはかなりよくて、これは予想以上でした。何よりあの暗い目と猫背が強力だし、『トカゲ飛んだ?』のころと比べても身体がずいぶん自然に動くようになっていて明らかな成長を感じさせた。応援しているコが目に見えて成長していく過程を見るのは楽しい。『16[jyu-roku]』での演技にさらに期待だね。
タナダ監督の演出はスタイルにこだわりすぎている感じがした。スタイルというのはつまり引き画中心の固定ショットの多用のことなんだけど、何かのインタビューで監督が「引きの画にしてその中で役者がどう動くかが撮りたかった」というような話をしていてそれはわかるんだけど、でもそれなら役者をもっと積極的に動かすか、背景に動きを加えるか(ラーメン屋の厨房から湯気が出ていないのがとても気になった)、さもなければキャメラそのものを動かすかしないと画面のテンションが持続しない。またスタイルにこだわりすぎて大切な細部がフォローしきれていないような気がした。兄ちゃんとのあやとりとか電球を付け替える場面なんかは別のスタイルで丁寧に撮れば、もっとガツンとくるものになったように思う。
いつもうじうじして何を考えているのかわからない初子は、ふとした瞬間にハッとするような凶暴な目を見せる。あの凶暴な目がもっと見たい、と思った。もっと本当のどん底まで叩き落さなければいけなかったんじゃないかなあ。東さんなら、絶対にもっと遠くへ行けるもの。あんな暗い、凶暴な目を持っているんだから。。。「“世界”に対する徹底した受動性としての少女」ということで『少女ムシェット』は無理でも『害虫』くらいまで行ってほしかった、というのが正直なところ。


「忍耐とは死にゆくことの受動性」って誰の言葉だろう。


16[jyu-roku]』に期待。


大阪・テアトル梅田では6月9日公開
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「東さんの」チラシ!
http://yaplog.jp/hatsuko-movie/archive/41
日舞台挨拶レポート追加
http://cineamuse.exblog.jp/5423063/