せんちめんたるふたり漫才

http://www.nhk.or.jp/nikki/index.html

佐々木遼平と谷口葉月は「テンパリコケシ」という夫婦漫才のコンビを組んでいる。1年のとき、葉月がお笑いの相方を探していたところへ、いつも目立ちたいと思っていた遼平が立候補したのだ…。
近くにいる人の大切さは別れを知ったとき、初めて気づくものなのかもしれない。現在、卒業式直前の中学生たちに、自分の周りの友達や身近な異性との関係を見つめ直してもらう番組としたい。
【脚本】 さわだみきお
【音楽】 BANANA
【出演】 佐々木遼平 谷口葉月 ほか
【演出】 中野亮平

今週の『中学生日記』。これも秀作。主役の2人がすごく良くて、佐々木くんはあのへらへらと軽薄でいかにもケンカ弱そうな感じがハマっていたし、葉月ちゃんも笑顔と真顔の間の振幅の大きさが印象的な好演だった。最後の舞台上〜舞台裏のシーンにおける葉月ちゃんの繊細な表情の変化にはドキッとさせられた。葉月ちゃんは「悲しそうな顔」というより「悲しい顔」をしているんだよね、笑顔も真顔も。
1、2年生のときのコンビの調子が良かった頃のエピソードは、もっと見たかったような気がする。2人でネタ合わせをしているところとか文化祭での発表とか。そういう「幸福な時間」が存在しているからこそ、あのラストが切実に感じられるわけで。でもそれを入れたら、30分では終わらなくなってしまうのかな。
あと惜しいと思ったのが、塾帰りの葉月ちゃんに佐々木くんが声をかけるシーン。あれは何気に大事な場面だと思うのだけれど、他はともかくあそこで「つい魔がさした」のモノローグは不要でしょう。葉月ちゃんのうしろ姿と風になびく髪、そしてそれを見つめる佐々木くんの視線があれば、それで十分なのでは。
しかし今回も『友チョコ』と同様、余韻の残る終わり方が良かった。「もう戻れないんだな」という呟きとともに、佐々木くんが「現実」とはじめて向き合ったところで終わる。ドラマの後半、葉月ちゃんが「悲しい顔」をしていたのは、佐々木くんより先にその「現実」に気付いてしまっていたからだよね。
次回の『出発点』は、予告の印象だと苦手な金八風のようだけど、はたしてどうなんでしょう。