星は昼も輝く

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東桜中天文部員の2年生、西川真央(にしかわ・まお)は、他4人の部員と顧問の御器所先生と、川原で流星群を観測するキャンプ合宿を行う。
星が大好きな真央は張り切っていたが、他の部員たちからはやる気が感じられない。
合同でのプラネタリウム見学のあと、御器所先生が用事のため夕方まで別行動をとると言い出した。
そして各自、自由に行動を開始した…。
夜活動する東桜中天文部。昼間の活動を知る人は少なくいつも地味で目立たない。
それは昼間の星のようである。
【出演】 西川真央 三井祐介 関戸優希 水野奈津美 永谷祐樹 モロ師岡
【脚本】 桑原裕子
【音楽】 菅谷昌弘
【演出】 佐々木正

http://www3.nhk.or.jp/omoban/main0612.html#20060612000
今週の『中学生日記』。関戸優希ちゃんの演技は、私が考えていた通りのものだった。あの印象的な声は、お芝居の中に入ると主張しすぎることなく、自然と周りに溶け込むような形になる。これはとても良いことだ。優希ちゃんの声は、いわゆる「アニメ声」とは違うんだよね。もっと微妙な揺らぎを感じさせる声というか。だから、好きなんだ。優希ちゃんは笑顔ももちろん最高だけど、オーディション会場に父親が現れて以降の冷たく暗い表情がまた魅力的。ああいう表情が人一倍、映えるのは、美人の特権。セリフとスラッと伸びた手足の動きが雰囲気で流されてしまう部分があるのは少し気になったけど、それは監督さんやお芝居の先生が指摘すればいいことであって、私のような素人があれこれ言うべきことではないでしょう。
作品に関しては、演出が『ネーム・パートナー』の監督さんだったので、ああいう奇を衒った作風だったらツライなと思ってましたが、今回はわりとオーソドックスに徹した内容で好感が持てました(とはいえ、無音カットの挿入や公園のオブジェ然とした歪な形体のジャングルジム?などは、やはり狙いすぎ)。ライターさんは、『白線流し』をかなり意識してますね。
関戸優希ちゃんがオーディションで、「天文部だから」という理由で宮沢賢治のうたを歌い出すのは、なかなか秀逸なアイデア。あれを安定した歌唱力で自信満々に歌われたりしたら激怒するところだけど、優希ちゃんの頼りない不安定な歌声は繊細な響きを有していて、実に良かった。
ただ、あのうたがとても印象的だっただけに、後半もう1度、それを効果的に使用した場面が見たかったなとも思う。たとえば、西川さんの「他のコは目標があるのに私には何もない」という気持ちに、あのかなしく透明なメロディを何らかの形でシンクロさせたり。
また、それぞれが目標につまずくことになる要因が、外的なものに頼りすぎている点も気になった。父親とか友人とか渡米とか。あれでは本当の意味での挫折にはなり得ないのでは。あえてそうしたのかな。優希ちゃんが最初のオーディションで志望動機を話そうとして言葉につまる場面で鏡を使った描写があるけど、あれなんかは後でもっとうまく生かすことができたはず。
最後の「流星」のシーンも、もう一工夫できたと思う。願いごとを唱えるときの声は、みんなもっと抑えた調子にした方が余韻が残ったんじゃないかな。西川さんのラストカットもいまいちだよね。この辺の、いい線いってるのにもう一歩足りない感じは、やっぱり『ネーム・パートナー』と似てるかも。
なんだか不満ばかり書いてしまいましたが、全体的には良い内容で、少なくとも今年度に入ってから放送された新作の中ではベストだと思います。土曜日の再放送をぜひ御覧あれ。
優希ちゃんが歌った、宮沢賢治のかなしいうた

星めぐりの歌


あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の  つばさ
あをいめだまの 小いぬ
ひかりのへびの とぐろ
オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす


アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち
大ぐまのあしを きたに
五つのばした  ところ
小熊のひたいの うへは
そらのめぐりの めあて